
平成20年上期「なら県民電子会議室」運用の結果について
平成21年3月26日
奈良県総務部知事公室広報広聴課
I 運用全般に関して
「なら県民電子会議室」は、インターネットを活用して県民同士が県政について幅広く議論できる場を提供することにより、県民の県政に関する理解と関心を高めることを目的として、平成18年11月1日から運用を開始し、平成20年度で3年度目に入り、上期は平成20年4月5日から9月30日までの6ヶ月間実施しました。電子会議室の運用については、平成19年度に引き続き20年度も公募により選定している運営団体であるNPO法人電子自治体アドバイザークラブと県が協働の形態で実施しました。
平成20年度上期のテーマは、県政の主要施策等、県民の生活上の関心が一層高まるものとして、「まほろばからストップ温暖化を考える」及び「世界に開かれた奈良づくり」を19年度下期に引き続き取り上げるとともに、「うまいものがある食の風土づくり」そして、参加者の選択肢の幅を広げるため、今回から運営団体の自主テーマを1つ追加し、「奈良に泊まってもらうには」の4つのテーマを選定しました。
登録・投稿・アクセスの結果は、次のとおりです。
期末登録者数 | 投稿件数(1テーマ1月平均) | アクセス件数(月平均) | |
H20年度上期 | 200人 | 748件(31件) | 21,545件(3,591件) |
H19年度下期 | 162人 | 683件(38件) | 22,356件(3,726件) |
H19年度上期 | 127人 | 882件(49件) | 22,702件(3,784件) |
H18年度下期 | 66人 | 185件(19件) | 11,078件(2,216件) |
登録者数は、平成20年度上期末で200人ですが、期末登録者数の比較では38人の増加に留まっています。投稿件数は、平成20年度上期748件ですが、平成19年度下期に比べ65件増加しました。これは、テーマ数を自主的に一つ増やしたためと考えられます。ただ、1テーマあたりの1ヵ月平均は減少しており、トップページへのアクセス件数も21,545件で、平成19年度下期22,356件に比べ811件減少しました。
この県民電子会議室の運営に関して、運営団体からの報告書では、情報化社会において、多くの問題が山積する中で多様な意見をフランクに投げかけ議論し提案できる場として、電子会議室は広く県民にメッセージを伝達し、議論して県民の意見を集約する有効な手段である。より多くの県民への理解と関心を高め、少しでも多くの会議室参加者の呼びかけを引き続き継続し、今後も幅広く議論できる「なら県民電子会議室」にしていきたいと、期待が込められています。
U 各会議室に関して
1 (テーマ1)「まほろばからストップ温暖化を考える ―これなら奈良、奈良ならこれだ、
1) 概要
この会議室では、前期に引き続き地球気候変動、地球温暖化防止に関する議論を行った。
議論は前期でほとんど煮詰まった感があり、今回は、その延長線から「奈良県ストップ温暖化防止条例」の制定を念頭に置いて議論をスタートし、6ヶ月間の投稿件数は141件(投稿者数19人)でした。
提案項目を条例案条文形式でまとめ抽出し、11箇条と附則に整理されています。これらの内容は報告書に詳しく記載されています。また、それぞれの条文の後にコーディネーターのコメントが記載されています。さらに、コーディネーターとして強く感じたこととして、本県が環境立県として、強く国内外に宣言(平城遷都1300年祭は良いチャンス)し、広く知恵を出し合い、ストップ温暖化防止条例の制定は必要であり、県民電子会議室で議論して整理した本条例案が、将来作られる条例案の骨格になってほしいと述べられています。
2) 提案に関する施策の推進状況
報告書において取り上げられた12箇条からなる提案について、それらに関連する施策の現状、施策の方向性等について、別紙1にとりまとめています。
2 (テーマ2)「世界に開かれた奈良づくり ―平城遷都1300年祭を契機に国内外から誘客
1) 概要
この会議室では、前期に引き続き「世界に開かれた奈良づくり」を継続してテーマとして取り上げ、サブテーマとして「平城遷都1300年祭を契機に国内外から誘客できるまちづくり」をテーマに議論が行われました。報告書では、サブテーマに関連して投稿者間で活発な議論が展開され、積極的で建設的な議論が飛び交う掲示板となったとまとめられています。6ヶ月間の投稿件数は、184件(投稿者数20人)でした。
提案事項については、議論の内容から比較的具体性を帯びたものとして、大きく5項目に分けてまとめられています。
議論を振り返って平城遷都1300年祭は、世界に開かれた奈良づくりの最終ゴールではない。重要な祭典にするべきものだが、それ自体が目標であってはならない。平城遷都1300年祭を大きな契機としながら、一通過点として、より良い奈良の街づくりを展開していくことが重要であると述べられています。そのためには、奈良に息づく深く豊かな歴史・文化・自然等を掘り起こし、それらの意味を再考するとともに、それを活かすための方策を模索し実行に移していくことが重要だと指摘されています。
2) 提案に関する施策の推進状況
報告書において取り上げられた5項目の提案について、それらに関連する施策の現状、施策の方向性等について、別紙2にとりまとめています。
3 (テーマ3)「うまいものがある食の風土づくり −身近なうまいもの情報から奈良の食
1) 概要
この会議室では、歴史と文化の発祥地である奈良県は、これまで多くの食文化を届けてきた。都があった昔より四季の変化に富んだ環境がたくさんの美味しいものを育んできた。
しかし、いつのころからか“奈良にうまいものなし”との風評が奈良の食文化の魅力を薄れさせている。こんな奈良を元気にしなければと感じている方々からたくさん意見が投稿され議論されました。6ヶ月間の投稿件数は233件(投稿者数17人)でした。
提案事項については、誇れる奈良の味はたくさんあり、磨けば宝になる資産はあると、共通した思いの投稿内容が数多く寄せられた。奈良にはおいしい奈良の人と風土がつくる食文化が脈々と育っているが、残念ながらこれまで発掘されず、磨かれず、眠っているものが多いのが現実のようである。奈良を元気にすることは、食文化を育てること、そんな熱い思いで議論され、貴重な意見を集約して提案項目として取りまとめられています。
果たして奈良にうまいものはあるのか、という論点から食文化の育成支援、販売拠点の開発など幅広い意見交換を通じて奈良県には食の観光資源も多彩でひとつひとつを見ると誇れるものも多くあり、「奈良はうまいものばかり」と実感した。ただ、それらは、点と点の存在であるのも事実なので、今後は生産者任せの点と点を線へ、そして大きな面へとマーケティング展開が必要なこと。奈良の食文化や県産品の全体の底上げには、中心的な人材育成が必要であり、大学、NPO、関連企業や生産者などとの連携や新たな事業体の枠組みも求められる。そうした事業体には国の支援策に加えてきめ細かな県の支援策が必要であると指摘されています。
2) 提案に関する施策の推進状況
報告書において取り上げられた5項目11分野の提案について、それらに関連する施策の現状、施策の方向性等について、別紙3にとりまとめています。
4 (テーマ4)「奈良に泊まってもらうには −こんなにある奈良の隠れ観光スポット、
1) 概要
今回から県民電子会議室の参加者の選択肢を増やして活性化につなげるため、運営団体が自主テーマを一つ取り上げ実施したものです。この会議室では、奈良の魅力を再発見していくことにより、奈良に泊まってもらうためにはどうすれよいか、さらにそれを実行していくためのアイデアを投稿してもらい、議論するように心掛けた。ただ、奈良で泊まったことがない方がほとんどという状況での意見交換であったため、奈良のイメージで捉えられる傾向があったことも否めない。そうした中他府県や外国での体験に基づいた宿泊してもらうことを目的とした議論展開が行われました。6ヶ月間の投稿件数は190件(投稿者数15人)でした。
提案事項については、10項目に取りまとめられています。また、提言を補足する内容の具体的な説明が14項目に分けて整理されています。
議論の過程で「宿泊」の定義を宿泊料が発生する宿泊施設のみとし、宿泊施設だけでなく、 周辺環境として食事や催事、行事、コンサートやコンベンションまで宿泊しようとするための動機付けが必要で、その上で、旅を楽しむのは普通に生活しておられる国民目線を旅行者自身が奈良県で宿泊したくなるようにするにはどうすればよいかを議論した。
半年間の議論を踏まえて県内には誘客に結びつく素材はたくさんあるが、その素材をいかにしてブラッシュアップして魅力づけをして来ていただける適切な広報をしていけば必ず宿泊客は増えるのではないかとまとめられています。
2) 提案に関する施策の推進状況
報告書において取り上げられた10項目の中、9項目の提案について、それらに関連する施策の現状、施策の方向性等について、別紙4にとりまとめています。
別紙1 テーマ1の提案に関する施策推進状況
別紙2 テーマ2の提案に関する施策推進状況
別紙3 テーマ3の提案に関する施策推進状況
別紙4 テーマ4の提案に関する施策推進状況