
奈良県総務部知事公室広報・広聴課 様
19年度下期「なら県民電子会議室」の報告書
〜県政について県民同士での意見交換〜
2008年度4月9日
NPO法人電子自治体アドバイザークラブ
理事長 奥家孝彦
【目 次】
I. はじめに
II. 提言
III.電子会議室の報告
III-1 (テーマ1) :ストップ温暖化を考える
〜家庭・地域から温暖化防止の取り組みを広げよう〜
コーディネーター:遊津隆義
III-2 (テーマ2) :世界に開かれた奈良づくり
〜海外への奈良の情報発信や外国人観光客の誘致など〜
コーディネーター:大西 弘
III-3(テーマ3):みんなで教育について語ろう
〜子どもを育てるための家庭・学校・地域の協働〜
コーディネーター:三宅基之
IV.広報活動、登録・投稿・アクセス集計
V. まとめ
【添付資料】
I.はじめに
(1)目的
この電子会議室は、インターネットを活用して県民同士が県政について幅広く議論できる場を提供することにより、県民の県政に関する理解と関心を高めることを目的とする。
(2)電子会議室に期待するもの
インターネットを巡る技術とサービスの進化が続いている。ネット上の行動履歴や位置情報を組み合わせた広告配信は効果的なマーケティング手法として脚光を浴びている。06年に国内のネット広告費は、3630億円と言われている。テレビ、新聞、雑誌に並べる第4の媒体に成長した。広告制作費を含めると3倍程度になり、雑誌を既に超えたというのが業界の常識となっている。近い将来、新聞と同水準の一兆円規模に達する。約6兆円という国内広告市場はネットの台頭で激しい争奪戦の対象になっているビジネスから政治まで社会の営み、さらには、文化的なものまで、その本質的な部分で「情報処理」を伴っている。「情報のデジタル化」によって、記録・伝送・蓄積が容易にできるようになり、情報は劣化しなくなった。この力が、近年のIT(情報通信技術)の進歩の持つ、変化を生む力の本質である。そして、この力は、現代の社会の営みのさまざまな形式・規則・法律などの物理的制約、枠を無力化し、行政はこういう状況に耐えていくために、新しい試みを求められている。21世紀になり顕著になっている。
多様な情報が基本的には共有の「データベース」として扱えるようになり、その結果は情報処理の極端なコストダウンになる。その情報の種類に縛られずに誰でもが扱えるのが、コンピューターであり、プログラムという処理の手順を示した、ブラウザー(インターネット閲覧ソフト)である。ブラウザーは、住民の多様化した意見を一覧できるとともに、対話することができる有効な手段である。行政は、この手段を有効活用すべく、新しい枠を求めてさまよっており、新しい規格の切口が必要になる。奈良県では、パソコンの普及率は全国3位(県勢07年版)、インターネット人口普及率は全国1位、携帯電話契約数人口比は全国17位(総務省04年版)であり、情報化における奈良県民の関心は高いと言える。地域SNSやブログ等の拡大により、インターネットを利用して生活の隅々まで広がる新しいサービス、価値の創造が始まっている。
電子会議室は、インターネットのホームページ上に設置した電子掲示板を使って、参加者が自由に意見を述べ、議論に参加できるため、参加者同士あるいは参加者と県職員が地域の課題について一緒に考えていく新たな県民参画の場として、広く県民の意見を集約する有効な手段になっている。電子会議室の特徴は、「多様性」を認め合うことである。文化や経験の異なる人が、自由に対話することにより気付くこともある。電子会議室へのアクセス・投稿を増やす施策が必要であり、多様性を支える不断の革新が成功の鍵と言える。
19年度下期は、3つのテーマについて、6ヶ月に亘って、議論を進めてきた。各電子会議室で、議論された内容からまとめた報告を下記する。奈良をよくしたい、自分の住んでいる地域を良くしたい、と思った人たちが集まって議論した内容であり、県政や地域活動に生かしていただければ幸いである。
II.提言
各電子会議室でまとめた「提案」の項目を提言として項目のみ下記する。詳しくは、後記する各電子会議室の報告をご参照いただきたい。
1.テーマ1:「ストップ温暖化を考える」
〜家庭・地域から温暖化防止の取り組みを広げよう〜
1)「自転車の町、エコ奈良」の実現
2) まるごと一日マイカーを使わない日
3) 環境対策は街づくりから
4) 省エネライトアップと自然エネルギー等の導入
5) 排出量取引の奈良スタンダードを!
6) 奈良県は地球温暖化への強いメッセージを
2.テーマ2:「世界に開かれた奈良づくり」
〜海外への奈良の情報発信や外国人観光客の誘致など〜
(1)海外への奈良の情報発信
1) 国際総合奈良学研究センター」の設置を
2) 外国のメディアの招待を提案
3) 奈良県庁のホームページ外国語版の改善提案
(2)国際交流の積極的推進
1) 奈良に新しい国際交流の風を
2) ホームステイの勧め
3) 教育者の国際交流
(3)外国人観光客の誘致
1) 近郊都市との連携による新たな観光開発
2) 多様な観光プログラムの開発を
3) 農業観光(アグリツーリスム)の提案
4) 有能な外国語ガイドの養成
3.テーマ3:みんなで教育について語ろう
〜子どもを育てるための家庭・学校・地域の協働〜
1) 学校支援地域本部設置の取り組み情報を積極的に公開する。
2) PTAや学校に向けた学校支援地域本部の設置研修会を行う。
3) 地域活動を教育プログラムにする
4) 特色ある奈良の教育を作るための世界的なネットワークを作る
「ストップ温暖化を考える」
〜家庭・地域から温暖化防止の取組を広げよう〜
コーディネーター:遊津隆義
1. はじめに
今まさに身近で深刻な問題となってきている地球温暖化について、奈良の現状把握から将来のあるべき姿、そして私たちはどうすべきか、どうしたいか、等について、まずは気楽な気持ちでスタートし、家庭や地域での様々な取り組み、そして多くの意見や提案を頂いた。6ヶ月間における本テーマ会議室への参加者は25名、発言数は177件であった。
2. 提案
会議室での多様な発言の中で、ごく一般的或いは抽象的な意見や要望は除き、はっきり明記された提案、及び具体性があり提案となりうる意見を抽出し、以下にまとめた。
1) 「自転車の町、エコ奈良」の実現
化石燃料を使わない移動手段で最も優秀なものは自転車です。「サイクリングシティ エコ奈良」ゆたりのんびり観光をキャッチコピーとして、以下具体提案します。
(1)自転車道の整備、及び公共交通機関(電車・バス)に自転車専用車両をつけ、自転車をそのまま積み込んで乗れるようにする。(サイクルトレーン&バス)
(2)奈良県内に「サイクリングロード100」選定して自転車道路や駐輪場を整備してアピール。
(3)お父さんの駅までの通勤や工場勤務も可能な人は健康増進を兼ねてサイクリング通勤にする。
(4)お母さんもスーパーへの買い物は自転車でする。
(5)公共施設、工場、駅の駐車場スペースを駐輪場スペースに変更する。
(6)奈良には美味しいレストランが少ないと言われているが、郊外のレストランもつなぐ事により点から線の奈良観光を提案できる。
(7)京都〜奈良〜吉野〜熊野までのサイクリングツアーレースを 企画する。
(8)また自転車道には太陽電池を並べて、その電気を一般家庭に供給。世界で一番太陽電池を生産している奈良県は、自転車と太陽電池の町で売り出しましょう。
これにより観光客増加にもつながり、環境や健康面からは、高いガソリンを使わずにCO2削減に大きく貢献し、道路の渋滞が大幅に緩和する。また個人的には健康増進にもつながります。
2) 「まるごと一日マイカーを使わない日」
県全体では無理でも、市町村レベルで、土日祝などに「まるごと一日マイカーを使わない日」を決めて試行実施する。地元商店街の活性化にもなって、一石二鳥。 なお同時に公共交通機関の利用促進を図るため、以下のシステムや割引を導入する。
(1)定期券又はパス券(SIICAやPITAPA等)の提示がなければ、企業は通勤費を支払ってはいけないと言う条例等を作れば、通勤者は全員、大量輸送手段の電車やバス又は自転車を利用する。
(2)また自転車通勤者には奨励金をだす。
(3)交通事業者は、ICカード等利用者には割り引きを自動で適用する。例えばA)隣接した駅どうしの乗り換えの便宜として、30分以内であれば通し料金で利用できるようにする(初乗り料金が多重に課金廃止)。又3区間を乗り継ぎした時、3区間目の路線の運賃を割引する等。
3)環境対策は街づくりから
環境&景観重視の奈良として奈良ブランド価値を引上げるべきで、街づくりでいかに環境フレンドリーな仕組みを構築していくかが大切です。
(1) パーク&ライド推進のため、午前9:30〜夕方5時までは、登大路の国立博物館以東の道を
歩行者天国に、又はバスや指定車以外は乗り入れ禁止にする。基本的には奈良公園周辺は、歩行者と公共交通を優先した「トランジットモール」とし、また自転車道を整備し、サイクル&トレイン及びバスを実現する。
(2)JR線以東への車の乗り入れを制限するため、駐車場代に「環境整備協力金」を上乗せする。
(3)排熱効率(空調効率)で非常に問題のある高層建築に対しては規制強化していく。
(4)奈良町に代表される昔ながらの空気換気重視の木造日本家屋は、エコで長持ち。圏内の森林伐採をサイクルとして行い、メンテを図り、木材利用の建造物については県から補助を行い、木や森のサイクルとの共存を図りながらエコ的な街づくり、家づくりで奈良らしい景観に見合った環境施策を講じていくべき。
4)省エネライトアップと自然エネルギー等の導入
そもそも何でもかんでもライトアップし過ぎである。まずは対効果を十分検討し、時間限定や季節限定のライトアップ制を導入し、過剰なライトアップは禁止とする。また実施する場合は以下を義務づけた(できれば自然エネルギー採用率○%以上など規定)条例を制定する。
(1)省エネ蛍光灯やLED化等の省エネ対策を積極的に取り入れたライトアップの実施。
(2)太陽光発電等自然エネルギーの導入、或いはグリーン電力の購入やカーボンオフセットの活用。 奈良のライトアップは、自然のエネルギーで賄っていますとアピールする事により、観光客増加にもつながると考える。
5)排出量取引の奈良スタンダードを!
もはや世界の潮流は、時間の問題で排出量取引の導入化が進むと思われる。県の見解でも、“都道府県の間での排出権取引は現在のところ検討されていなく、また自治体間での排出権取引制度を実施している国は無いと思われる“とされているが、すでに「新宿・伊那モデル」等も出現しており、むしろ奈良県がリーダーシップをとって、効果的なスタンダードをつくってしまうことが重要で得策です。 まずは早急に多様なメンバーによる検討委員会を立ち上げ、他県に先駆け準備〜実施することを提案します。
6)奈良県は地球温暖化への強いメッセージをだしてほしい
ストップ温暖化でこそ奈良県ならではの強いメッセージを出すべきで、以下の3点をセットにするなどユニークな環境施策を考えるべきである。
(1)平城遷都1300年と地球温暖化防止を結びつける。
(2)奈良県の森林を救うため地球温暖化防止と結びつけた、奈良県オンリーワンの施策を考える。
(3)若者に奈良県にきてもらう為に神社仏閣は少し横において、サイクリング、グリーンツーリズム、森林浴、川遊び、エコの勉強 など若者が取り組める地球温暖化防止活動を考える。
3. 発言の概略
一応お知らせ欄に「話の進め方」を簡単に示しスタートしたが、それには全く関係なく議論は展開。開始当初は日に10件程度も発言があり、うれしい悲鳴を上げたが日に日に少なくなり、参加登録者の増加も少なく、適宜コーディネーター等からの発言(誘い)を行うも力不足で、特に終盤は議論が出尽くした感があり極めて低調となった。これまでの発言の概要を以下にまとめる。
(1)地球温暖化の影響
・グローバルには、北極や南極及びグリーンランドの氷も溶けています。氷の融解や海水温度の上昇等による海面上昇、巨大化するハリケーンや台風も・・・。氷河や万年雪がなくなると、太陽光の反射率が低下して、温暖化を加速します。エベレストの氷河が解けて山間部に湖が続々と誕生(氷河湖)、決壊して大洪水を起こす危険性が増大している、など。
・身近な奈良県では、昔に比べて暖かくなった。30cm程度雪が積もったり、1cmの氷が張るような冬の日はまずはなくなった。花の咲くのが早くなり、パンジーや朝顔はいつまでたっても咲いている。家庭菜園のゴーヤは10月になっても採れる。最近の台風は7月、8月、9月の経路が昔に比べてちょっと違うように感じる。11月も中頃ですが近くの神社の桜の木に、桜の花が5個ほど咲いている。橿原神宮近辺でも霜が今はまったく降りていない。奈良公園の紅葉も年々遅くなってきて、特に今年の紅葉は夏の猛暑のせいで大幅に遅れました。また今年の1月には、暖冬のせいで平城宮跡近くの池で小ブナが大量発生。藻だか何だかが異常に増えて木津川の水質が悪化している。庭のゆき柳の花が咲き始めました。他に、黄梅、てっせんの花も咲き始めました。小さい頃は御陵の池に氷が張って、氷面を歩けたそうですが、最近は凍ることはまずありません。等々 こんなとこにも気候変動の影響が出てき始めているようです。これからすると熱帯or亜熱帯地方の”感染症”なんてのもより現実味を帯びてきます。
(2)ストップ温暖化への奈良県民意識
・環境ISO(ISO14001)の認証取得状況で見れば、全国平均よりかなり低く遅れているといえます。県が目標設定したのも遅いですし、大した施策も出ていません。
・あまり切迫感がないのか、奈良では環境保全の運動が盛り上がらず、とても残念です。
・町内で行う祭りやその他行事でのゴミ捨て、煙草の吸い殻もあちこちに落ちてます。路上でのゴミもあり、国道脇での弁当の空箱やゴミの山など、奈良県人として、とても恥ずかしい思い。
・昔公害の町、北九州市や尼崎市は今や環境先進都市に変貌。理由は一言、公害で苦しんだ経験。緑豊かで痛みを経験していない奈良では、このような発想は出てこないのでしょうか・・・。
・大型ショッピングセンター等無料駐車場で長時間クーラーをかけてアイドリングしている車をよく見かけます。身近で出来る温暖化防止の啓発活動がまだまだ不十分。
・変化を感じるその意識がなければ何も見えなく、気づいたときは手遅れだった・・・。「ある時点」を過ぎると戻れないポイント・オブ・ノーリターンは、「気温ターゲットが2℃とすれば」ここ10年以内である。本当にこの四季折々美しい奈良の自然を我々はいつまで見れるのでしょうか。
(3)ストップ温暖化に関連し奈良県が他県に誇れるもの
・自然でいうと、森林と空気と水資源でしょうか。森が作り出す新鮮な空気ときれいな水は、何物にも代え難い素晴らしいものです。また人工物でいいますと、御所市の太陽光発電や、野迫川村の風力発電がそれに該当するでしょう。
・奈良と言えば歴史的遺産の寺院仏閣とお坊さん。県下の宗教家(お坊さんや神主さん)が集まって、「奈良エコ宣言」のような提言をすれば、大きなインパクトがあります。
(4)重点分野と対策について
1)ゴミ
・ゴミの分別をきちんと行うと、無駄に焼却しなくて済み、結果として必要最低限の焼却処理場だけで済むようになり、ゴミを燃やすための税金が節約できる(横浜市の例)。もちろん、焼却に伴う炭酸ガス発生だけでなく、大気汚染による住民への健康被害も解消し、医療費の出費も減るという良い循環になってくる。この辺は子供のうちから教えていく必要があります。
・町内会や自治会の協力に加え、そこで鍵を握るのがNPOの活用です。
・ごみ処理はどの市町村でも大なり小なり必ず処理している問題で、3Rやもったいないの精神にも通じる一人ひとりのライフスタイル変革の基本。
・ごみのリサイクル率で1位であった神奈川県鎌倉市は、ペットボトル、アルミ缶、使用済み食用油、植木の剪定等ゴミを20種類に分別収集している。きめ細かい分別には経費がかかるがリサイクルは市に収入をもたらし、リサイクル率は50%を超え、06年度は8900万円の売上があった。
2)クルマ
【マイカーひとやすみ】
・奈良県民としては、限られた努力を何に使ったらよいか。そのキーワードは自動車です。自動車は便利ですが、その社会コストは便利さを上回っている。マイカーを利用せざるを得ない都市構造を採っていること自体が、地球環境への攻撃なのです。だからこそ、マイカーさえ抑制すれば、二酸化炭素排出削減の目標数値はらくらく達成できそうです。道路網の運用を改善して、マイカー無しで暮らせる街にしていくことが、いちばん効果的な地球温暖化防止策だと思います。
・マイカーを自粛してもらうための「大きな事」として、郊外の大型ショッピング店を打ち止めする心意気も欲しいものです。(これはコンパクト・シティへつながる)
・ガソリン価格の高騰で民間会社及び個人ではガソリン消費の少ない軽自動車の利用が増えている。乗車人数、荷物量、距離当によりバイク、軽自動車の利用を検討すべきである。
・ウィーンのグラーベン通りやフィレンツエのベッキオ橋、ベネチィアのサンマルコ広場に該当するような排気ガス無縁の空間を観光戦略と整合性を持たせ奈良は備えるべきです。
【アイドリングストップやパーク&ライド】
・奈良市ではアイドリングストップ条例があり10万円の罰金です。奈良市の条例では、文化遺産等市長が指定する限られた地域だけで、不十分な気がします。(条例を制定しているだけでもましではあるが)むしろ県で条例を制定し、広く網をかけて規制すべきだと思います。
・官用車や社用車の不適切な運用を監視するとしたら、ドライブレコーダーにタコグラフ等も装備したらよいかもしれませんね。
・近鉄、大阪/阿倍野で試験導入の「パーク&ライド」方式は、奈良でも大いに参考にすべし。奈良公園周辺の施設とスーパー等連携をはかり是非奈良でも実現を。
・奈良の表玄関阪奈道路から流入車両のパークアンドライド候補地に、500m しか開通していない大和中央道路の活用を。また同時に東行きは公共車両専用車線を1本増設が効果的。
【自転車の活用】
・化石燃料を使わない移動手段で最も優秀なものは自転車です。ヨーロッパでは化石燃料消費を減らすために自動車から自転車&公共交通機関への転換が進んでいます。日本ではまだ本格的に取り組む町は出ていませんが奈良は条件的にも自転車に有利な地形をしていて「自転車で走って観光できる気持ちいい町」として全国に先駆けて取り組むべきだと思います。
・ベルギーのハッセルト市は、街の外周に建設する予定だった三番目の環状道路の計画を取りやめ、代わりにいま二つある環状道路のうち一つを閉鎖し、そこに木を植え、歩道と自転車道を拡張し、バスの運転回数とサービスを向上させ、やがて公共交通を無料にした。1年後、公共交通の利用者が800%増加した。商店主たちは売上が増加して喜び、交通事故と、事故の被害者が減少したため、街が活性化された。バスが無料になったのと同じ日に地方税が減額された。同市の住民が支払っている税金は、10年前よりも少なくなった。住民が増加して税収が増えたので、税を減額することができたのである。無料バスは、道路建設よりも安くつく代案であり成功した。
3)エネルギー(創エネと省エネ)
【原子力発電】
・ 地球温暖化はエネルギーの浪費によって起こっています。その最も典型的な例は原子力発電で実際に使用するエネルギーの半分以上を捨て空気や水を温めています。原発は地球温暖化を考えた場合、最悪の発電方法です。1)生産が消費場所から何百キロも離れている(送電ロス)
2)大量の温排水を排出し海水温度を引き上げ、周辺海域の生態系を変化させている3)高熱を百年以上も出し続ける放射性廃棄物。4)原発のゴミはプールで冷却が必要なほど高熱を出し続けます。原発は何万年の未来にも害を及ぼす旧時代の設備で地球温暖化の元凶です。
・遠くの巨大発電設備を動かし、それを何百キロも運んで分配する旧時代の発想を捨て、各家庭に燃料電池や太陽光発電を設置し地消地産型社会を築くべきです。戦艦大和(原発)などやめ、ゼロ戦(燃料電池、太陽光発電、マイクロ水力)の開発に全力を注ぐべきです。政府や電力会社の「原発がCO2少なく地球温暖化に有効」という宣伝は放射性廃棄物からの発熱や地球を何万キロも回るウラン燃料の輸送加工などの浪費を無視しています。
・地盤が安定しない奈良には不向きでしょう。それに大量の水も要求します。そして廃炉からは多量の放射性廃棄物が発生し、この処分場探し、搬送道路、と未来へ環境負債を押し付けることを認識してください。またLCA(ライフサイクルアセスメント)評価が重要です。
・日本では原発の建設場所に苦労しているが、自分たちの邪魔にならない場所で作った電力を使わせてもらって「原発反対」と言えるのか?ゴミ焼却場の地域エゴと同様の感覚では。地球温暖化はエコムードで解決するのか?
【自然エネルギー】
・太陽光発電ですが自宅に設置しています。最近も新しい製法が開発され、発電効率も向上し、値段も安くなってきていますし、中古市場も出来ています。
・発電についての選択肢は、・水力発電・地熱発電・風力発電、他いろいろあります。あとは電力会社の変な制約が解消すれば良いのだけど。風力発電建設に電力会社がブレーキをかけています。理由は、市民に代替エネルギーを使われると、自分の電気がその分売れなくなるから・・・。
・太陽電池が人類のエネルギー問題を解決してくれると思いますが、現在の変換効率やコストではまだまだ本名とは言えません。小形水力、風力、波力などのローカルエネルギー利用の技術開発も進んでいますが、適正地の問題やコストなどを考えるととても本名とは考えにくい。一方、自動車は遠からず燃料電池か蓄電池で走ると思いますが、それらのエネルギー源は電気です。
・間伐材等の廃材からバイオ発電やバイオ燃料化は、奈良らしい創エネ手段である。
・法整備が出来ていないため、たとえば発電しても小口電力の売電が出来ない。せめてドイツ並みの法的整備が必要である。
【省エネ】
・地球温暖化防止に関し、理屈や理論も大切ですが、省エネルギーの実践こそが大切ではないでしょうか?そしてまずは、誰でも出来る温暖化対策10項目(JCCCA参照)の実践から。
・効果的で地道な省エネの実践(蛍光灯電球、湯たんぽ、など)は家計の節約にもつながる。
・家の断熱化に補助金を出し新築の家は高断熱を義務つけるなど「いい家(省エネ住宅)」にお金を使うべきです。窓や、金属製の雨戸の裏側に気泡シートを貼り付けて断熱効果をあげる。透明度の高い断熱といえば、段ボール構造の透明プラスチック板もお手軽です。
・08年1月、「日経生活モニター」によるインターネット調査によると、「実践して節約効果が実感できる」代表例として、風呂の残り水を再利用する、室内で厚着をする、暖房のスイッチはこまめに切る、コンセントを抜き待機電力をカット、などが多い。
・ライトアップは確かに幻想的な夜景が現れ、観光客誘致などには効果があるとは思いますが、何でもかんでもライトアップし過ぎの感がします。実施する場合は、少なくともこれからのライトアップ含め公共施設や大型店舗の建設時は、自然エネルギー導入率を30%〜50%以上にするなど規定すべきです。またライトアップでいうと、信号機と同じくLED化も効果的です。
4)森林
・世界的には森林減少(伐採、焼畑、森林火災などで)が続いていて、最近はバイオ燃料用の大豆やサトウキビ畑等への森林伐採も加わり危機的状態。それらに伴って排出されるCO2は、世界における化石燃料の燃焼等によるCO2排出量(年約230億t)の約4分の1を超えています。森林伐採は短時間ですが、森林の再生は数10〜数100年もの長い年月がかかります。このままでは植林は追いつきません。温暖化対策と森林減少の防止はセットで考えねばなりません!
・奈良県の森林による1年間のCO2吸収量は1000万tCO2で、一方CO2排出量は560万tCO2と、現状は吸収がかなり上回っているが、しかし日本全体の現状は、吸収と排出はほぼ同程度の数値とのこと(藤原昇氏講演より)。これからしても奈良県や高知県など、森林率の高い県には国策としてもっと森林保護育成の支援があるべきです。
・奈良県の山は、少し山中に入ると細い木ばかりが覆い茂り、光も射し込まない状況の山がほとんどです。奈良県は森林が多いと言いますが、このままで大丈夫・・・。私たちが支払っている森林環境税は生きているのでしょうか?
5)その他
・地球温暖化はCO2の問題だけでなく、人類のエゴへの警鐘であり、経済合理性の社会から自然環境合理性の社会への転換であると思う。
・昭和の生活に戻るのは、もう不可能なのだろうか?計画や施策は急がず、先送りせずが基本。
・食堂の食材も、輸送コストの観点から地産地消の割合を公表。大型建造物の禁止。
・24時間営業の段階的中止。環境重視の経営理念を評価。
・日本の昔ながらの空気換気重視の木造日本家屋が奈良には一番適合します。
・環境行政について、節約は私たちは肌身に感じています。いろんな提言がありますが、今更何をと言う思いです。京都議定書は、国民不在の中で議決され、中国、米国は未だに批准していません。わが国は、一定の努力をした上で更に高い目標を設定したのです。わが国の個人が対応できる限界を感じています。国、県及び市町村の環境保全行政当局は何を目標に、県民に何を求めているのでしょうか、明確な指針を示されることを求めます。
・毎年奈良県から出されている「環境白書」の地球環境保全への取組内容の把握と、履行の遵守。また交通・自動車「交通体系の省エネ化」等の推進は、事前に県民へ十分なる説明を。
・郊外のショッピングセンターなどで交通量の大幅な増加をもたらす事業者に対し、温室効果ガスの排出抑制対策を求める方向で、地球温暖化対策推進法の改正等の実現を図るべし。
・奈良では家庭とクルマが鍵を握るのは確かです。しかし啓発だけで10%削減が可能でしょうか? 何か一昔前の竹ヤリ戦術のようで、もはや思い切った施策が必要です。
・ETCを用いた西名阪道のスマートな機能向上について(ETC設置場所工夫やキャッシュバック導入)
・“イオン温暖化防止宣言“を評価。他社も是非追従して欲しいものです。それには、我々市民のバックアップが一番重要です。
・徳川300年の平和を支えた柳生政治の奥義を学ぶ等、日本の環境を柳生の知恵で守る。
・洞爺湖サミットを大いに盛り上げ、奈良県民の関心を呼びストップ温暖化意識を上げよう。
・カーボンオフセットの考え方と導入。「マイカーオフセット」やいろんなオフセット応用がある。
・IPCC第4次統合報告やCOP13についての概要解説など。
●「都道府県間排出権取引」を奈良県から発信を:奈良県としては他力本願ではなく、都道府県間での排出権取引等を積極的に広げる等あらゆる政策に手を打ち、、豊かな自然環境に甘んじて、ほとんど地球温暖化対策への投資もしていない現状を気づき見直さなければ、取り返しのつかない事態になります。東京都、神奈川県、愛知県、大阪府などに比較して、奈良県は緑も多く、産業も少ないので、温室効果ガスの排出量は少ないと思います。東京都に奈良県の排出枠を買ってもらえば、県の財政も少しは良くなるのではないでしょうか?
<県環境政策課の見解>
1)都道府県の間での排出権取引は現在のところ検討されていない。自治体間での排出権取引制度を実施している国は無いと思われる。地勢や産業構造の異なる自治体毎に公平に排出量を割り当てることが困難であることや、圏域内の排出の直接的な抑制手段に限界のある自治体に排出枠を割り当てることの合理性、自治体が税金で他の自治体から排出権を購入することの妥当性など、検討すべき課題は多い。
2)森林が豊富な自治体が排出権取引で有利になるとは限らない。都道府県の排出枠を定めるに当たり、例えば、都道府県における総排出量から森林の吸収源をあらかじめ差し引いて排出枠が割り当てられるとした場合には、他の都道府県に売却できる量は少なくなる可能性があるため、森林を多く持つ自治体が排出権取引で有利になる制度となるとは限らないと考えます。排出権取引制度は別としても、さまざまな役割を持っている森林を守ることは大切であることから、県では、森林環境税を導入して森林の環境を保全する取組を推進しています。
・温室効果ガス排出量取引の自治体版がありました。東京都新宿区と長野県伊那市で「新宿・伊那モデル」と呼ばれています。新宿区が伊那市の間伐を支援し、森林整備を進めることによって二酸化炭素を削減し、その代わり区の二酸化炭素排出量の増加分をオフセットする方式です。このように森林の多い地方の自治体と都心の自治体が連携する取り組みを全国に拡げようとしています。
またこれを機に都会と地方の人の交流を積極的に深める事も盛り込むとのこと。
(5)実践の鍵は
・ストップ温暖化を実践するにあたって、最も重要なのは「小さな事からコツコツと」ではなく、「大きな事からバッサリと」という方針だと思います。この為に必要なのは明確な現状把握、明確なビジョン、明確な戦略です。なおそのキーは自動車です。
・状況は深刻とは言うものの直接の実害は少なく、一般市民の大多数は何から手をつけるべきかが判っていない。現実は「まずは身近な事からコツコツと」をまず実践し、次に「大きな事をばっさりと」ではないでしょうか。県民一人ひとりはちりも積もればが意識改革の第一歩で、ムダはなくそうが基本です。奈良県のストップ温暖化のキーはクルマと電気の省エネにあると思います。
・地球温暖化防止への取組みをあまり悲観的にとらえずに、経済的な節約生活への勉強と挑戦、スローライフへの満足感、子供たちへの教育?、など自分の心豊かな新しい生活スタイルを造り上げるという面からあれこれ考えたり提案するのはいかがでしょか。今までの経済合理主義の生活スタイルから人間らしい生活に戻れるという前向きな考え方で取り組むのが良いと思います。
・取り組みの成果が具体的に解れば、さらに工夫した努力が続けられるでしょう。家庭や地域での努力がどれだけ効を奏しているのか、いないのか具体的な数値で実感したいものです。
・「できるものから始めてみましょう」より「効果の大きいものから始めましょう」とすべきです。
・節約は限界があります。それより使った後に危険な物質、例えばアスベスト等と同様に位置づけ、石油(温暖化を引き起こすので危険)を使わないようにすることが大切です。
・奈良にうねりをおこす動機付けは、「マイカーを降りよ、町を歩こう」又は自転車にある。
・環境面で「奈良にうねりをおこす」には、まずは「マイカーの自粛」でしょう。
4.おわりに
6ヶ月間を通して課題は、1にも2にも参加登録者をもっと増やし、より多様な議論を展開することであったが、後半もあっという間に過ぎてしまった。また女性層や若い層の参加があまり感じられず、当初から少し専門的な内容もあり、また細かく長い或いは堅い投稿が多く安易に入り辛い等も影響したかもしれないが、根本的にはわざわざ投稿参加する必要性/メリットが、やはり今一歩少ないと考えざるを得ない。しかし当初の期待より少し議論の環は小さかったが、全般に内容は広範囲で、家庭から地域でのあらゆる分野に言及でき、まずはじめの議論としては奈良県の実状をある程度的確に捉まえた議論、及び提案ができたのではと思っている。また結構投稿はしていないが、会議室は見ている方は非常に多く、如何に投稿行動に結びつけるかの更なる工夫と、強い動機付けが必要である。
ストップ温暖化をはじめ多くの問題が山積する現代において、多様な意見をフランクに投げかけ議論し提案(県政へ)できる場は貴重である。県政や知事への間接ではあるが、確実なメッセージの伝達を明確にアピールし、より多くの、又より多様な県民への理解と関心を高め、少しでも多くの会議室参加者の呼びかけを引き続き継続し、今後も幅広く議論できる「なら県民電子会議室」の発展を期待するものである。
III−テーマ2
「世界に開かれた奈良づくり」
〜海外への奈良の情報発信や外国人観光客の誘致など〜
コーディネーター:大西 弘
T.始めに
投稿者数27名、投稿件数212件。当初なるべく幅広い層からの投稿を期待していたが、結果的には全体の74%に当たる157件が11名(実質9名)の投稿者によるものであった。そういう意味で、この会議に於ける発言内容がどれだけ県民の意見を反映しているものであるか、疑問点は残るが、それはそれとして、むしろ投稿の内容によって評価して頂ければ、幸甚である。
発言内容が多様で項目別にまとめる事は至難であったが、一応「提案」と「その他発言」の2項目に分類した。提案と言っても必ずしも具体的な内容にまで煮詰まっていない項目もかなりあるが、今後更に継続して検討する価値があると思われるものは敢えて提案の項目の中に入れた。一方、提案と言うより、問題提起に留まっている発言や、意見が分かれて提案としてまとめ難いものは「その他発言」とした。なお、発言内容を網羅することは難しいので、主旨のみを件名別にまとめる形を取らせて頂いた事をご了承頂きたい。
U.提案
1.海外への奈良の情報発信
1−1.海外へ奈良の魅力を如何に発信すべきか
(1) 「国際総合奈良学研究センター」の設置を
現在奈良県内には、文化財研究所や考古学研究所・万葉古代文化研究所・東大寺史研究所などが県内各地に存在しているが、それらをつなぎ合わせる学際的な施設がない。京都の「国際日本文化研究センター」のように、世界から研究者が集い、そして世界に発信してゆく総合的な研究施設は、奈良にも必要だと思う。そこに、奈良学を研究対象としている世界の大学教授や、研究者、あるいは、僧侶や神職・芸術家の人たちも出入りできる施設であっても、いいと思う。既に、万葉世界賞なるものが創設され、世界の万葉研究者を表彰する制度が始まっているが、これを更に拡大させ全奈良学ジャンルの研究者を対象とした、「まほろば世界賞」を創設する事を提案したい。
(2)外国のメディアの招待を提案
奈良は2年後に平城遷都1300年記念事業を控えており、一つの好材料を提供出来る大きなチャンスです。メディアの人達の心を捉えるには、普通の招待旅行とは異なった感動的異文化体験をしてもらう事です。そこで、1300年記念事業の一環として、下記提案を致します。大きな反響を呼ぶ可能性があると思います。
1.招待のタイミングは記念行事のある約1年前の2009年4月初旬桜の季節。遅くとも11月。(記念事業の年に海外から多くの観光客に来て頂く為の呼び水効果を狙う)
2.対象国は費用対効果を考慮し、中国・韓国・台湾に絞り込むか、欧米のメディアも含め、人数配分を考慮する。又、在日外国人メディアも加える事を検討したい。
3.招待する人数は5〜6人、多くても10人以内が望ましい。(少人数を木目細かくアテンドする方が効果的。多過ぎるとどうしても対応が雑になり勝ちになる)
4.宿泊は旅館(異国情緒)とホームステイ(日本人の日常生活に直に触れてもらう)のミックスがいいだろう。
5.お寺や神社を案内する時は、偉いお坊さんに直々に案内をして頂く。(強いインパクトを与える)
6.宇陀市とか高取町等の日本の原風景を想起させる所に案内し、土地の人達との触れ合いの場を設定する。(通常の観光とは一味違う体験)
7.通訳ガイドは一流を事前に選び、滞在期間中徹底的に密着アテンドさせる。(通訳ガイドと仲良くなれば、よりリラックスし、安心出来るので、伸び伸びと取材が出来、いい記事を書いてもらえる大きなチャンスを生み出す)
(3)奈良県庁のホームページ外国語版の改善提案
奈良県庁のホームページについて気付いた点について、いくつかの改善提案をさせて頂きたいと思います。
1.更新日について
英語版の更新Dateは2006年12月1日となっています。またTourismのトップページのデータが2003年2月現在と書かれているのは如何にも信頼感を損ねます。早急にアップデートされる事をお勧めします。
2.「Information before coming」の項目を追加される事を提案します。海外からの観光客はインターネットで事前に情報を得る事が多いと思います。そういう人達に興味深い情報を提供する事によって、観光客の誘致効果も得られ易くなるでしょう。京都のホームページは参考になります。
3.Tansportation-Accessの項目に関空及び伊丹からのリムジンバスサービスが記載されていません。実際には多くの方達が利用されている便利なサービスですから、記載されるのが妥当ではないでしょうか」
4.Accommodation の項目にホテル及び旅館の住所、電話/ファックス番号等の情報の入ったリストを載せる事を提案します。英語のホームページを持っているところはリンクしておけば親切です。地図で宿泊先の所在地が確認出来る様にすれば、より親切だと思います。
1−2.国際交流の積極的推進
(1) 奈良に新しい国際交流の風を
日本の文化に魅了され、深く関わっている海外の人達は非常に多いと思う。活け花、茶道、陶芸、尺八、盆栽、囲碁等々の日本の伝統文化を対象にした文化交流の輪を広げる努力をしてはどうか。伝統文化に限らず、教育や音楽などの世界共通の分野に於ける文化交流の輪を広げる事も新たな奈良ファン作りに貢献すると思う。
この様な地道な文化交流活動は人と人のつながりが基本となるので、大人同士のホームステイと組合す事が出来れば、一層効果が期待できるが、議論が大きく発展しなかったので、今後の検討課題として残しておきたい。
(2)ホームステイの勧め
外国人観光客が単に観光地を見て回ることだけでなく、人との交流や文化交流を加えることにより、印象も深まり、リピーターにつながるのだろうと思います。世界に開かれた奈良づくりとして、もっと国際的な活動を活発にすべきだと思います。奈良は同じく古都でありながら、京都に比べて非常に多くの点で魅力に欠けている為、観光だけではどうしても長く滞在してもらう事が難しいのが実情です。その点、ホームステイの場合、観光だけでなく自分達の日常生活に直に触れて頂く事により、単なる観光では決して得られない人間的触れ合いやその土地の人間を介さなければ得る事の出来ない貴重な経験もしてもらえます。その結果、奈良での滞在が非常に印象深くなり、友情も深まり、奈良ファンを世界に広げるきっかけになります。一人の奈良ファンが10人の新しい奈良ファンの種を蒔いて下さるチャンスがあります。県や各市町村の行政のトップがこうした地道な草の根の国際交流活動を積極的に評価し、奨励する事を期待したい。相手国の知事や市長の親書を携えて来るような活動グループに対しては、表敬訪問を受けるなどの対応を積極的にする事を提案したい。
(3)教育者の国際交流
学校の先生同士のホームステイを伴った国際交流を実現する事が出来ないか。教育問題は今や日本だけではなく全世界的なテーマでもあり、共通項の多い分野だと思います。当然の事ながら、お互いの悩みとか経験など双方にとって興味深い話題は限りなく多いのではないかと推察します。差し当たっては、奈良の特徴を活かした世界遺産学習と国際理解教育をテーマにして、奈良県内にある学校の先生方と世界各国の先生方との交流を提案します。これが実現すれば、世界に開かれた奈良作りの一つの大きな切り口となる可能性があり、意義深い事だと思うのです。ホームステイは人間同士の触れ合いを直に感じる事の出来る有効な手段です。全世界にクラブを有するホームステイ組織との連携が出来れば、プロジェクト推進の大きな力にもなるでしょう。
2. 外国人観光客の誘致
― 魅力ある奈良作りの為に ―
(1)近郊都市との連携による新たな観光開発
USJや繁華街の楽しみを備えた大阪府と、世界遺産や静寂が売り物の奈良県が手を携え、1つの観光プランの中で相互補完ができるような手立てを考えてはどうか。中国人観光客等を対象にしたショッピングと観光をミックスしたプランも効果が期待できる可能性がある。例えば、東大寺・奈良町・イオン高の原とか、明日香村・今井町・アルル(ダイヤモンドシティ)という組み合わせも一案。
(2) 多様な観光プログラムの開発を
古都奈良の特性を生かした寺社巡りに加え、地域のイベントや伝統産業、人々の暮らしぶりなどを組み合わせた異国情緒をゆっくり味わえるような観光プログラムの開発を考えてみてはどうか。奈良歴史ウォークなどを組み込んでも面白いかも知れない。
春・秋の観光シーズンだけでなく、東大寺のお水取りとか高取町の雛人形を飾るイベントなどのユニークなプログラムを組み合わせれば、冬の季節でも新たな観光開発が可能ではないだろうか。東南アジアの人達にとっては、雪景色が珍しい為、わざわざその季節に日本を訪れる観光客も多いそうですから、PRの仕方次第では観光誘致になる可能性も考えられます。
(3)農業観光(アグリツーリスム)の提案
奈良県内で独自の農業経営で成功している農家などとタイアップして周辺の歴史的な建物とか伝統行事や特産物等を総合的にコーディネートして、新たな形の観光として開発してはどうだろうか。大和郡山の金魚の養殖なども一つの可能性として面白いかと思われる。
(4)有能な外国語ガイドの養成
奈良の観光に関してのみならず、仏像や神社仏閣、建築、更には日本文化全般について日本語でガイド出来る人はかなりおられるようですが、外国語でガイド出来る人の数は極めて限られているのではないでしょうか。もし、正しい情報を分かり易く又楽しく外国語で話せるガイドが沢山いる土地として広く知られるようになれば、奈良に魅せられる外国人の数は大きく伸びる可能性があるでしょう。県でボランティアガイド養成研修会が行われたり、社会人を対象にガイド養成講座を実施されている大学もあるようですが、折角研修会や講座を終了されても、実際に活躍する場がないと言う現状が報告されています。今のまま何も対策がなされなければ、1300年記念事業の年にきちっと訓練されたガイドの数が大幅に不足すると言う事態も起こるのではないかと懸念されます。有能な外国語ガイドの養成が急務ではないかと思います。
そこで、その為の対策として、次のような提案を致します。
1) 県または1300年記念事業協会が適当な推進母体に委嘱して、外国語ボランティアガイド養成の為の特別研修プログラムを作り、現場で即活躍出来るガイドの養成を図る。これには現場経験の豊富な講師が指導に当たる。
2) 県が「通訳ガイド国家試験」の奈良版に相当する検定資格制度を確立し、ガイドを志す人達が自己研鑽する目標を提供する。これにより、ガイド要員の裾野を広げると共に、レベルアップを図る。有資格者には有料でガイド出来る道を開く。
3) ガイドの有資格者やボランティアガイドのリストを作成し、外人観光客が利用できる仕組みを作る。(参考までに京都ではリストをホームページで公開している)
これらの提案を具現化するには、いくつかのクリアーすべき問題点があるとは思いますが、何よりも大事な事は、まず県がボランティア精神を持つ人達に活躍の場を提供することの重要性を認識し、積極的に解決の為の取り組み姿勢を示す事ではないでしょうか。
U.その他発言
1.魅力ある景観を残そう
(1) 古都としての奈良を目指そう
奈良の景観は醜悪化している。特に近鉄奈良駅、県庁、JR奈良駅大宮通りなど玄関口がひどい。コンクリートのビルは古都奈良には相応しくない。古い歴史と文化を持ち、多くの世界遺産を誇る奈良に相応しい静かな佇まいを感じさせる景観政策を見直してほしい。奈良にこそ日本で誇れる都市景観を残していくべきである。
(2)美しき日本の残像について
東洋文化研究家アレックス・カー氏の著書「美しい日本の残像」が美しい日本の景観を守って行く為の貴重な示唆を多く含んでいるとして紹介された。これに関連して、JR奈良駅周辺に建設予定の新しい外資系ホテルが今迄多くの写真家に奈良を代表する一つの優れた景観スポットとして親しまれてきた景観を著しく損ねる危険性のある事が指摘された。今後、奈良を日本の伝統文化を代表する一つの町として、これ以上景観が破壊されないように、奈良県外に住む外部の人達の客観的な意見を聞く機会も作るべきではないか。
(3)奈良は魅力満載
A)紹介すべきモノもコトも、奈良はいくらでも抱えています。はっきりいって、観光資源の宝庫です。「情報が少ない」のは事実ですが、それは、魅力がまだ情報化されていないだけです。新しいものは日に日に価値が落ちますが、古いものは日に日に価値が増していきます。“周回遅れのトップランナー”たる奈良に魅力を見出す者としては、大規模な都市開発は断固拒否します。奈良の魅力のアピールは、その何千分の一のコストで実現可能です。
B)私も奈良の魅力は京都のような大観光都市では感じられない、飾らない素朴さと日本の歴史や伝統文化の故里を感じさせる何かロマンのようなものが残っているところにあるのではないかと思っている一人です。従って、京都と同じような魅力を追求する事には賛成出来ませんが、逆に極めて地味な奈良の魅力をどの様に訴求すべきかと言う事については明確な答えをまだ持ってはいません。
(4)奈良を魅力ある町に変貌させよう
奈良を魅力あるマチに変貌するために、具体的な下記の提案をさせて頂きます。
(1)JR大和路線+JR和歌山線+JR桜井線を複線化し、奈良環状線を実現する。
(2)奈良環状線の内側を市街地として、新しい『まちづくり』を推進する。
(3)奈良環状線の外側に学研都市・工業地帯・近郊型農業や近郊型林業を配備する。
(4)佐保川・飛鳥川・大和川の川幅拡張と水量増加の計画を実施する。
(5)文化財や歴史資産も、投資効果の無いものは実施しない(補修に留める)。
(6)各市町村の財務諸表をプラスに変換する(京都市は7億8百万円の黒字ですよ)。
(7)国立奈良女子大を男女共学にして、総合大学に変貌する。
(8)奈良県庁の表札を『奈良県廰』に改める。(県民の意見を聴く所の意味合いです)
(9)奈良県は60歳以上の人材が多いので、県が人材紹介会社を作る(シルバーセンターはだめ)。
(10)駅前の活性化を図る。他府県からの新規参入事業者は、10年間 無税とする(地方税のみ無税)。等など、具体策を検討すれば切りがありません。県廰各位のご健闘と県民の意識改革を切望します。
2.観光客に対する親切な対応の大切さ
(1)奈良の宿泊客増加のために
比較的コストが安い「サービス面」の向上を図る事からはじめてはどうか。業界が研修や視察を繰り返し、従業員教育と同時にオーナーの意識改革を図って本当の「おもてなしの心」を表現する術を学ぶ努力をしてほしい。真面目な努力をしている同業者も多い中で、一部の極めて質の悪いサービスと対応しか出来ない旅館が奈良のイメージダウンを招いている現状は残念である。一つの案として、観光3団体を一本化し、業界発展の為に、一丸となってより効率のいい施策を打ち出す事は出来ないものか。
(2)撮影の規制はもっと緩めるべし
奈良の神社仏閣や博物館は他の県や諸外国に比べ、写真禁止の立て札が多過ぎる。奈良を訪れる観光客が思い出として持ち帰りたい気持をもっと尊重して、規制を緩やかにすべきではないか。外国人観光客の顰蹙を買う要因にもなっているのは残念である。場合によっては、写真撮影を有料化するなどの工夫を凝らすなどしてでも、杓子定規に禁止と言うよりはいいだろう。
(3)観光センターなどに於ける親切なもてなし
外人観光客が頻繁に訪れる奈良市観光センターのようなところでの親切なもてなしのサービスが好印象を与え、奈良ファン作りにつながるのではないか。観光客の諸々の質問に対して、英語できちんと答えられるボランティアガイド常駐し、お茶のサービスをするなどして、ちょっとした観光疲れを癒すオアシスのような場所を提供出来れば素晴らしいと思う。
3.歴史的文化資産の効果的訴求
1.平城宮跡の国営公園化について
<賛成意見> A)奈良の将来にとっては画期的な出来事だと思います。
B)日本の歴史の中で極めて重要な位置を占める奈良時代の最も象徴的な遺跡である平城宮を復元する事には国家的にも大きな意義がある。奈良県にとっても観光開発の絶好のチャンスになるでしょう。発掘作業も平行して進めるべきだとは思うが、もし事情が許せば、将来的にはあの広大な敷地の中に奈良時代の役人の邸宅や街並みを復元し、その一部をみやげ物店や奈良の特産物を売る店や展示場等に利用すれば、奈良観光の目玉の一つにもなり得るのではないか。
<反対意見> A)大極殿や朱雀門の復元経費を聞いて驚きました。そこまで金をかけなくてもいいのではないか。
B)復原するだけの資金があるなら発掘作業を優先すべきだと思う。平城宮大極殿にしても第一次と第二次とがあります。第一次大極殿と称する建物のみの建造公開によって、結果的に歴史の流れがマスクされてしまうのではないか。そもそも平城宮の建物は、遷都となるとすべて分解・運搬して再使用したのが現実の歴史です。恒久的な建造物として、構造も細部も推定にすぎないものを、巨費を投じて建ててしまうことには強い違和感を感じる。復原と称して、不本意に失われたわけでもない建物の、想像上のイメージに過ぎない、しかも厳密な伝統工法でさえない模型を建ててしまうのは、歴史に対する理解と洞察を妨げるのではないかと危惧します。それも、いったい何年間維持するつもりなのでしょう。建てるなら、今から解体費用の積み立てをしておかないと無責任だと思います。
V.おわりに
6ヶ月間に亘り、熱心に色んな角度から議論が行われて来た事は意義深かったと思う。
まだまだ検討が不十分な項目や掘り下げの足りない項目も多い事は否めないが、中には今後の検討課題として、具現化の為の努力を続けるに値する項目も少なくないと思う。
既存の国際交流組織による情報の共有化や協調体制作りとか地域住民による魅力ある街づくりと行政の支援体制といったテーマについての議論がなされなかったのは少し心残りに思う。
6ヶ月と言う、限られた期間で極めて幅広いテーマを要領よくリードしながら、意見を集約して行く事は予想以上に難しく、結果的に投稿者の数が期待したほど増えなかった事に対してコーディネーターとして自らの力不足を痛感した。
一方で、この会議室が県の委嘱を受けて推進されている事業であると言いながら、実際に県のトップの方々が関心を持っておられるのかどうか全く感じられなかった事には一抹の寂しさを禁じ得なかった。一つの提案ですが、3ヶ月に一度くらいは知事自らのメッセージを顔写真と共に会議室のトップページに載せて頂く事は出来ないものでしょうか。その事によって、県のトップが県民の声を積極的に聞く姿勢がある事が直接伝わり、投稿者の裾野を大きく広げる事にもつながるのではないかと思う次第です。コーディネーターにとっても大きな励みになるでしょう。
最後に、議論を進めて行く途中で、取り上げられたテーマに関する意見をお聞きしたり、協力をお願いした際に、快く応じて下さり、誠意ある対応をして頂いた関係の方々に心から感謝申し上げます。
III−テーマ3
「みんなで教育について語ろう」
〜子どもを育てるための家庭・学校・地域の協働〜
コーディネーター:三宅基之
1.はじめに
この会議室では前期からの継続したテーマで、地域の子どもを地域で育てるということを通し、「教育コミュニティづくり」を拡げていくことについて議論をしてきました。前期では基本的な学校や教育に対する考え方を、実践を紹介していただきながら話し合いました。
大分類は【理念】−【現状把握】−【求める姿】−【方法論】として下記の4つを設定した。
(1)「学校」ってなんだろう−(「学校教育」の目的?あなたの主張は?)
(2)「学校」あるある大辞典−(今時の「学校」話や昔の思い出話など)
(3)こんな「学校」がいい?−(どんな「学校」なら行きたくなるかな?)
(4)地域で子どもを育てる実践(オラがまち自慢、学校自慢で披露して!)
後半に方法論として「学校支援地域本部の設置検討」という大変重要な情報がもたらされ、特に後期は、これらの実践を中心に、議論することとしました。
実践を紹介しながら議論を進め、特に、「学校支援地域本部」(仮称)のつくり方を具体的なテーマの一つに掲げました。
大分類は、【地域】【学校】【PTA】【協働】【フリー】【特集】
(1)地域の取り組み紹介 書き込み 63件
(2)学校の取り組み紹介 書き込み 21件
(3)PTA の取り組み紹介 書き込み 0件
(4)学校と地域の協働 書き込み 51件
(5)新たなアイデア 書き込み 102件
【特集】学校へ行こう! 書き込み 45件
特に前期の反省から、実際に学校へ足を運んでいただき会議室の議論が、実践に結びつくような機会になるよう【特集】学校へ行こう!を設定しました。また、実践を強調すると自由な意見表明がしにくくなることを緩和するために、【フリー】新たなアイデア、を書き込める設定にしました。議論運営上、4つの取組のカテゴリー分けと、自由に教育について語れるスペース、議論を実践に結びつける機会、をつくるという会議室での議論の設定にしたのが後期の特徴です。また、前期報告書の「2-(1)学校支援地域本部を積極的に設置する」提案が施策として盛り込まれたことで、より具体的な議論が出来るよう意識的に取り上げました。
2.提案
(1)学校支援地域本部設置の取り組み情報を積極的に公開する。
平成20年度予算で発表された学校支援地域本部関連予算は市町村実行委員会には、500,000円、各々の中学校区の学校支援地域本部には、2,257,000円、県下62箇所に設置する計画で、香芝市、生駒市、奈良市が全校区設置となっている。この先行する取組の状況を公開することで、県内全域での成功例を導いていけるのではないか。学校を、教育コミュニティの地域の拠点として整備していく方向で、具体的に学校と協働する時のポイントや、人材養成のシステム、教育行政としての学校マネジメント方法論が議論された。「学校評価」を的確に行うことも必要だという議論も合わせて、学校の取組情報の公開が求められる。
【265】学校支援地域本部設置運営の基本要件
学校支援本部運営には、学校の情報開示が基本ですね。まず信頼醸成です。次に全体運営の地域教育コーディネーター、各プロジェクトのコーディネーター、実践ボランティアという構成。教員の分掌担当と教委にも必要か。この規模を動かすには、中小企業並みの経営力がいりますよ。
(2)PTAや学校に向けた学校支援地域本部の設置研修会を行う。
学校支援地域本部を設置していくための具体案として、PTAを軸にした指導者養成講座や研修のような仕組みを行政が提供する必要性が議論された。今回の電子会議室にもほとんどPTA情報の書き込みがなく、沈滞している状況が予想できる。地域間格差、学校間格差を生み出さないようにするためにも、PTAや学校への取組のサポートや活動の担保を行政が工夫し担うべきである。
【199】この投稿欄を見ていると、奈良市内の学校の事ばかりですね!
県内の学校数に占める奈良市内の学校数は少ないのですよ。他の多くを語らず、恵まれた地域だけを語る体質は、奈良県の悪いところです。反省してください。・・・底上げなくして、教育システムの向上などありません。
(3)地域活動を教育プログラムにする。(防災防犯の活動が、子どもの地域教育の一環になる)
自主防災や防犯活動と、スクールガードのボランティア活動が単体のもので終わるのではなく、学校を拠点にして行われることで、子どもを地域で育てる体験プログラムにできるという提案。そのためにもNPO法人奈良地域の学び推進機構のような団体が必要になる。
【221】2月は自主防災訓練が各地で行われるようですが、明治地区さんのような取組をされているところは他にもあるのでしょうか?ぜひ、自主防災の県か市かわかりませんが、会合で取組の発表をしていただいてはどうでしょう?子どもたちの安全教育と地域貢献の両方がかなう話ですね。きっと学校も協力されるように思いますが・・・教育の一環ですものね。
(4)特色ある奈良の教育を作るための世界的なネットワークを作る。
世界遺産を県内に有する奈良県は、そのリソースを活用した特色ある教育カリキュラムをつくることが出来る。そのためには奈良県内の教員や子どもたちを、世界の世界遺産を有する都市の教員や子どもたちと結ぶことが、地域学習を推進する動機付けとなる。
【200】同じ職業や趣味の分野に於ける人達を全世界的に結びつけると言うプロジェクトがあります。たまたま今年の主要テーマが教育分野になっております。・・・双方の基本的合意が得られれば、実現の可能性はぐんと近づくと思いますよ。
3.発言の概略<経過と論点>
2007年10月〜2008年3月の論点
「子どもを育てるための、家庭、学校、地域の協働」というテーマで教育を語る会議室ですが、大まかに下記のような議論が交わされた。
(1)地域の取組
地域の取組のレポートをもとに、地域で子どもを育てるとは具体的にどういうことかを考え合う。
1)防災防犯地域活動を学校教育活動にいかす事例
【221】2月は自主防災訓練が各地で行われるようですが、明治地区さんのような取組をされているところは他にもあるのでしょうか?ぜひ、自主防災の県か市かわかりませんが、会合で取組の発表をしていただいてはどうでしょう?子どもたちの安全教育と地域貢献の両方がかなう話ですね。きっと学校も協力されるように思いますが・・・教育の一環ですものね。
【234】救出訓練ではストーリーを考え、倒れた木材の下敷きになった人形を助け出しタンカーに乗せて救急車まで運ぶまでを行いましたが、救急車には乗せないで横に置くだけで終わりました。
人形の周りには1年生の子供が心配そうに顔を覗き込んだりしていたので、どうしたのかと声を掛けたところ、この人形を下さいと言いましたので、来年も使うからあげられないと説明をし、つれて帰ってどうするのかと尋ねると、きれいに洗って怪我を治したいとの事で、では人形と写真を撮って届けてあげるからそれで我慢してくれますかと尋ねたところ頷いたので、名前を聞き友達も交えて撮影をしました。・・・小さな子供の心は解らない場合が多いです。
(2)学校の取組
学校の取組のレポートをもとに、地域と協力できる具体的な分野や方法はなにかを考え合う。
1)学校支援地域本部の先行事例
【243】藤原校長先生が興味深いレポートを公開されています。
●学校支援本部の効果(土曜日寺子屋)
●カリキュラム編成(授業の工夫)
●テレビ視聴の制限(家庭の躾)
具体的な内容で興味を惹かれます。
こういう実践の情報が、私たちの取組の参考になるのではないでしょうか・・・
http://www.wadachu.info/data/fujihara_report_070714.pdf
【188】先生方が家庭環境や教員不足を嘆いておられるのは、どこででも聞きますが、「ではどうするか?」となると、手立てがなくなりますよね。
その意味で、家庭と共に学習規律と授業改善を平行して取り組みされている?東市小学校さんの着眼点と、その努力は特筆すべきものがあるのがわかりました。
(3)PTAの取組
PTAの取組のレポートをもとに、学校をサポートできる具体的な分野や方法はなにかを考え合う。
話題提供がありませんでした。
(4)学校と地域の協働
学校と地域の協働実践をもとに、地域と協力できる具体的な分野や方法はなにかを考え合う。
1)地域の活動と学校での教育を接続させるITの活用
【86】奈良県と同じように山間村落も多く2年前からITネットを使って県独自の共通テストを各学校に配信して実施していたそうです。
IT活用だけがトップの結果でないでしょうが、遅れている「教育の情報化」(奈良県は日経BP社全国調査でビリから三番目)レベルアップのため教育委員会がIT活用部会を立ち上げてはどうでしょうか。
【87】私も、このニュースを見ました。教育委員会が中心になって、このIT活用に取り組み、先生方の負担を軽減させることにもつながっているとのことでした。「IT活用部会」をぜひ立ち上げたいものですね。これは、全県的に行うことに効果があるものと思いますので、県の教育委員会や、教育研究所などでの取り組みになるのでしょうか。
2)学校地域支援本部の運営について
【178】・・・すべてではないと思いますが、学校支援本部がこのような形で動いていることに失望を感じます。・・・いずれにしても、教育改革は公立中学校に塾の講師が有料で一部の生徒に特別な事業をすることから派生する影響は、今後の公教育のありかたに良い影響を与えるのかどうかにかかっていると思っています。
3)協働を推進する仕組としてのコーディネーターやファシリテーター制度
【118】・・・
運営形態:
・組織:ピラミット型からネットワーク型へ・授業:先生の放送型からワークショップ型へ
マネジメント:
教師のやる気、世の中を教材にする、生徒のやる気、地域を巻き込む
このような取り組みは、幅広い経験が必要であり、教育界だけでは難しいのではないかと感じました。・・・終了後、私の地元校区の小中学校の校長先生に会ってみました。いろいろと課題があるが、出来るところから取組んでみたいとのことでした。先生方のやる気、発想の転換に期待し、心ある地域住民の積極的な支援に参加したいと思いました。
【2】横のつながりを作っておきたいので、機会あるごとに協力していただけそうな方にはお話をして、良き人の輪を作れるよう土台作りのつもりで地道にうごいております。
どの方も最初は「それ何?」という反応ですが、中には前向きな反応をしてくださる方もありますし、人を紹介してくださったりもします。
【109】・・・■ネットディを支える4人のキーパーソン
(1)学校コーディネーター
学校側の窓口として内外の調整の要を担い、教職員の合意形成を行うリーダーシップをとって、十分に教育的効果を発揮できるよう企画・立案を行う役。
(2)地域コーディネーター
保護者や地域住民に対する窓口となって、既存の地域団体との連携を促し、実行委員会において主導的な役割を果たして企画や連携のとりまとめ役。
(3)技術コーディネーター
プロ仲間や工事ボランティアから頼られながら、下見調査から当日までの工事の指導・監修を行う役
(4)総合コーディネーター
豊富な経験と協働作業を促す柔軟な発想と行動力を持ち、全体調整や外部資源の供給役
(5)新たなアイデア
家庭・学校・地域と協力できる具体的な分野や方法はなにか、教育にいま必要なことを考え合う。
1)地域を活性化させる教育のアイデア
【168】 奈良女子大の在校生や卒業生に反対意見があるのでしたら、奈良女子大学部を創設してやれば良いと思います。奈良女子大の改革なくして奈良県の発展はありません。奈良県には、国立の総合大学がないのですよ!奈良県の教育後進県を打開しましょう!奈良県の大学教育について真剣に考えましょう。
【37】企業による子ども教育
教育日立製作所:「家庭教育」財団を作っている。東芝:「科学教育」東芝科学館で実施。
松下電器:「理数教育」ミュージアム等で実施。シャープ:「環境教育」出前教育り実施。
カシオ 「コンピュータ教育」
これらはたぶん、各企業独自の判断で行われていることと思います。奈良県の各企業がどのようらされているのかは、情報はありません。
逆に考えると学校教育側でカリキュラムを提案して県内企業の協力を得ると言う考えがあるかも知れませんね。
【240】奈良地域の学び推進機構のホームページを拝見しました。
http://www.nara-e.net/chiiki-manabi/
ポイントを貯めていくことは、子どもにとって結構はげみになるようです。自分がこれだけやったという履歴にもなりますし、足跡を辿れる仕組みがあるのは、とてもいいと思います。
いろいろな団体がもっているプログラムがここに参加すれば、子どもたちがバラバラに参加しているプログラムが、ポイントプログラムとして登録されるってことですよね。子どもたちの体験の場や機会がポイントで繋がり、ポイントがたまっていくという動機付けから、もっといろんな事がしたいという動機も生まれてくるような期待感があります。
4.成果
1)学校支援地域本部設置がどのように進行しているというリアルタイムな情報を提供できた。
2)学校と地域が協働するための情報共有の仕組が有効であることがわかった。
3)地域のリソースを活用するための仕掛けとしてNPO法人奈良地域の学び推進機構が誕生した。
5.課題
1)会議室への全体の参加者数を増加させるため実践校にレポート参加を要請する必要がある。
2)簡単に学校現場やPTAからの意見を紹介できるようにする方法を検討する必要がある。
3)学校評価や県内の学校での教育活動の的確な情報を発信出来るように検討する必要がある。
6.おわりに
平成19年度を通したテーマとして選ばれた「教育」について、特に公立学校の教育に話題を絞り込んだ設定は、学校教育改革の中でも地域住民の学校参加が大きなトレンドになっている。学校評議員制がほぼ全校で導入され、地域に開かれた学校づくりという考え方や学校評価の推進についても既定路線となっているが、その本格的な実践はこれからの取組による。「学校」のもつ役割について藤田英典はその著書「教育改革」-共生時代の学校づくり-(岩波新書)において、このように指摘している。「つまり、学校は地域の人々にとって共同性の基盤として存在しているということである。さまざまな活動を共にし、思いや利害をぶつけ合い、共通の経験を蓄積し、共通の思い出と愛着を育む基盤、共生的生活圏の核として存在している。<P4>」というのである。平成20年度からは、学校支援地域本部を設置するという施策が打ち出され、県内では62箇所での運営を目指しているこの節目の時期に、当該会議室での議論が、県民への公立学校の教育活動参加への関心を喚起し、地域をあげて公教育を後押ししていくための具体的な活動を考え合うという啓発の一環として位置付けられたことは意義のあるものと思われる。
コーディネーターとしての配慮は、議論が錯綜しないよう整理をすることであった。そのための手法としてRVPDCAマネジメントサイクルを会議の進行に導入した。教育の「理念」を確認することを起点に、現状を把握するR(リサーチ)、現状の把握から生まれる求める姿をV(ビジョン)、実施するための計画P(プラン)、計画の実施D(ドゥー)実施を検証するC(チェック)、検証から生まれる次の取組A(アクション)というサイクルを議論の基軸にすることを心掛け、また扱う話題を常に実践を基にしたものにした。後期においては、取り組みを学校、PTA、地域、協働、と分類しながら「この意見はどの分野の意見か」という全体の中での位置付けを、閲覧者が常に把握できるように仕分けを行なった。これは途中からの議論への参加でも、全体が見通すことが出来て、どの議論に参加するかを選択しやすくするという意図があった。前期の反省で、全体として電子会議室への書き込み参加者が広がらなかったため、不特定多数の県民を対象にした電子会議室の会議運営の難しさを痛感した。内容については、学校の教育活動の実践がほとんど知られていないために書き込むことが出来ない、もしくは書き込まれたことに、意見を出せないといったことが影響しているように考えたため、フリーに意見表明ができる「新たなアイデア」の分類を設けた。またコーディネーターの基本方針として「議論を実践につなげる」ことを目標としたため、現地レポートを募る「【特集】学校へいこう!」を設定し、議論への参加者が学校へ足を運ぶ機会になるように工夫をした。書き込み件数の増加はみられなかったが、議論で出された意見は具体的であり、より深いものとなっているように思われる。特に学校支援地域本部に必要とされる要件や課題、地域の活動がどのように子どもを育てるということに繋がっているか、そのために果たす学校の役割とは何か、学校と地域の協働のあり方はどうあるべきか、紹介された実践例からどのように学ぶのか、公立学校をよりよくしていくためには何が必要とされているのか、といったことが焦点化された。いよいよ学校支援地域本部設置の取組が県内各地で始まる。この電子会議室の仕組みがより発展的に活用されることで、時代に合った地域における子育ての共同性を回復する道筋が見え、大人が力を合わせる教育コミュニティづくりの活動のノウハウを共有でき、学校を拠点にした地域の再生に一歩でも近づいていくことを願っている。
IV.広報活動、登録・投稿・アクセス集計
1. 電子会議の広報活動(実施した広報媒体)
(1)新聞発表 2件 (2)ホームページリンク(団体、機関) 10件 (3)メールマガジン(団体、機関) 6件 (4)機関紙/地域情報誌 10誌 (5)放送機関 4回 (6)ポスター(公共施設、企業、交通機関) 144枚 (7)チラシ (公共施設、企業、交通機関) 14602枚
2.電子会議室 アクセス・投稿状況
(1) 電子会議室アクセス数(2006/11/1〜2008/3/31)
トップ頁 | 18下 T-1 |
18下 T-2 |
19上 T-1 |
19上 T-2 |
19上 T-3 |
19下 T-1 |
19下 T-2 |
19下 T-3 |
|
2006/11 | 2991 | 1540 | 982 | ||||||
2006/12 | 2556 | 932 | 618 | ||||||
2007/01 | 1696 | 786 | 543 | ||||||
2007/02 | 1840 | 495 | 288 | ||||||
2007/03 | 1995 | 666 | 254 | ||||||
18年度下 | 11078 | 4419 | 2685 | ||||||
2007/04 | 4141 | 290* | 138* | 860 | 691 | 1392 | |||
2007/05 | 5282 | 228 | 119 | 1445 | 887 | 2013 | |||
2007/06 | 3446 | 135 | 80 | 1084 | 795 | 1589 | |||
2007/07 | 3297 | 83 | 56 | 1273 | 1014 | 1682 | |||
2007/08 | 3271 | 93 | 53 | 898 | 902 | 1482 | |||
2007/09 | 3255 | 84 | 54 | 1107 | 887 | 1821 | |||
19年度上/ 累計 |
22702 33780 |
913 5332 |
495 3184 |
6667 | 5176 | 9979 | |||
2007/10 | 6834 | 219 | 100 | 220 | 226 | 566 | 2081 | 2073 | 1328 |
2007/11 | 3940 | 100 | 70 | 81 | 90 | 415 | 1403 | 1456 | 988 |
2007/12 | 2784 | 91 | 65 | 75 | 68 | 398 | 983 | 1093 | 703 |
2008/1 | 2995 | 91 | 62 | 72 | 60 | 261 | 1141 | 1221 | 772 |
2008/2 | 3013 | 99 | 67 | 63 | 78 | 276 | 1011 | 1151 | 741 |
2008/3 | 2790 | 160 | 113 | 112 | 128 | 252 | 867 | 1123 | 800 |
19年下計/ 総合計 |
22356 56136 |
760 6092 |
477 3661 |
623 7290 |
650 5660 |
2168 11774 |
7486 | 8117 | 5332 |
● 月単位のアクセス数の推移
(2)月別登録者数(2006/10/1-2008/3/31)
18下期 | 19上期 | 07/10 | 07/11 | 07/12 | 08/01 | 08/02 | 08/03 | 19下期 | 累計 |
|
登録数 | 60 | 65 | 15 | 3 | 5 | 3 | 0 | 11 | 37 | 162 |

(3)月別投稿数(2006/11/1-2008/3/31)
年月 | 18下 /T1 |
18下 /T2 |
19上 /T1 |
19上 /T2 |
19上 /T3 |
19下 /T1 |
19下 /T2 |
19下 /T3 |
合計 |
2006/11 | 24 | 15 | 39 |
||||||
2006/12 | 29 | 19 | 48 |
||||||
2007/01 | 31 | 14 | 45 |
||||||
2007/02 | 9 | 9 | 18 |
||||||
2007/03 | 31 | 4 | 35 |
||||||
18年度下 | 124 | 61 | 185 |
||||||
2007/04 | 18 | 47 | 94 | 159 |
|||||
2007/05 | 27 | 26 | 57 | 110 |
|||||
2007/06 | 15 | 40 | 49 | 104 |
|||||
2007/07 | 28 | 82 | 81 | 191 |
|||||
2007/08 | 15 | 89 | 39 | 143 |
|||||
2007/09 | 21 | 76 | 78 | 175 |
|||||
19年度上 | 124 | 360 | 398 | 882/1067 |
|||||
2007/10 | 54 | 52 | 58 | 164 |
|||||
2007/11 | 38 | 35 | 68 | 141 |
|||||
2007/12 | 22 | 27 | 25 | 74 |
|||||
2008/01 | 26 | 42 | 36 | 104 |
|||||
2008/02 | 20 | 29 | 51 | 100 |
|||||
2008/03 | 14 | 27 | 59 | 100 |
|||||
19年度下 | 174 | 212 | 297 | 683/1750 |
● 月単位の投稿数の推移
(4)投稿者の投稿状況
● 登録者数:37名(累計:162名、平成18年11月1日〜20年3月31日)
● 投稿者数:84名(51.8%)
● 投稿数:683件(累計:1750件、平成18年11月1日〜20年3月31日)
● アクセス数:22356件(累計:56136件、平成18年11月1日〜20年3月31日)
● 今期上位5人の投稿数:332件(48.6%) ● 今期上位10人の投稿数:468件(68.5%)
【考察】 ・登録者数の伸びが鈍化してきた。
・登録者で投稿していただいている人、84人(51.8%)。
・投稿数上位10人で、2/3の投稿数を占める。
3.電子会議室の運営についての改善
課題: ○ 登録者数が増えない
○ 投稿者が固定化している
来年度より、下記の件について、改善することになった。
(1)トップ頁の見直し
トップページを3列にし、情報BOXを右側に移動する。
・それぞれの会議室トップで情報BOXを右側に表示
・ツリー表示で、選択されているタイトルを目立つようにする
(2)登録などを見直し、気軽に投稿できるようにする。
個人情報について、必須項目を減らすことにより、登録しやすくする。即ち、氏名、住所、電話番号は必須からはづす。ハンドル名の重複チェックと登録確認のメールアドレスだけは最低限必要である。ハンドル名、パスワード、メールアドレスの必須登録は残す。
(3)投稿からアラームまでの時間の短縮
・現行2日 → 1日
(4)自主テーマ(1件)を設ける
V.まとめ
1.全般
6ヶ月間に亘り、広範囲で、家庭から地域でのあらゆる分野に言及でき、熱心に色んな角度から議論が行われ、奈良県の実状をある程度的確に捉まえた議論、及び提案ができたのではないかと思う。テーマ1では、6件、テーマ2では10件、テーマ3では4件、合計20件の提案としてまとめることができた。また、トップ頁のアクセス数が22356件になり、多くの方々が閲覧していただいている。今後の検討課題として、県政や民間において地域の活性化の為に取組むに値する項目であると思う。実際に、この電子会議室の成果として、具体的テーマで地域活動を進めるNPOやグループが誕生しており、更に、いくつか、そのような機運が感じられ、それをまとめるリーダーが求められる。この電子会議室は、対話により事業の芽が出始めて漂流し始めた地域社会で、提案にまとめるだけでなく、それを実践する行動につながっている。
情報化社会において、多くの問題が山積する中で、多様な意見をフランクに投げかけ議論し提案できる場として、電子会議室は広く県民にメッセージを伝達し、議論して県民の意見を集約する有効な手段である。より多くの県民への理解と関心を高め、少しでも多くの会議室参加者の呼びかけを引き続き継続し、今後も幅広く議論できる「なら県民電子会議室」にしていきたい。
2.課題
1) 全般として、参加登録者、投稿者をもっと増やし、特に、女性層や若い層の参加を増やし、より多様な議論を展開することである。投稿に参加する必要性/メリットを感じられる施策が必要でなる。
2) 投稿者は、登録者の約半数である。残りの方々にも投稿していただける動機付けが必要である。また、会議室を閲覧している方も非常に多く、如何に投稿行動に結びつけるかの更なる工夫が必要である。
3) 教育現場からの参加が少なかったのは寂しい。学校現場やPTAからの意見が気軽に聞けるような方法や教育現場との情報交換ができる環境づくりが必要である。
4) 既存の団体や組織による情報の共有化や協調体制作りとか地域住民による魅力ある街づくりと行政の協働体制といったテーマについての議論がなされなかったのは心残りに思う。
5) この会議室は県の事業でありながら、一般には県の考え方が分らないという不満がある。県の方針なり考え方を明示して議論することがあってもよい。実際に県のトップの方々が関心を持っておられるのかどうか全く感じられなかった。
3.県への要望
(1)県職員の参加について
1) 関係部署の業務に関係する投稿があった場合、既に実施中の事業について、投稿者がそれを知らない場合、担当課から、自主的に内容の紹介をして欲しい。
2) 全く業務と関係のない職員が、私人として、積極的に議論に参加をお願いしたい。
氏名などの個人情報は登録不用となり、業務に支障をきたすことはない。
3) 県民同士が議論していることについて、担当事業の内容が間違って伝えられている場合、県は、それを正してもらいたい。
4) 3ヶ月に一度くらいは知事自らのメッセージを顔写真と共に会議室のトップページに載せて頂く事は出来ないものか。その事によって、県のトップが県民の声を積極的に聞く姿勢がある事が直接伝わり、投稿者の裾野を大きく広げる事にもつながる。コーディネーターにとっても大きな励みになる。
(2)広報活動について
「なら県民電子会議室」は、まだまだ、県民に知られていない。チラシ、ポスター、メールマガジン、サイトなどを利用して、広報に努めているが、認知度は低い。テーマに関係する部門からの広報支援をお願いしたい。
(3)県の政策への反映
投稿者からは、提案に対する県の取り組みについて、強い関心を持っている。その期待があるからこそ、投稿を続けている。電子会議室を継続させるには、提案に対する県の前向きな取り組み姿勢が必要である。
4.補足
■ 運営委員会の開催日:2ヶ月ごとに開催
・第8回運営委員会07年10月6日 ・第9回運営委員会07年12月15日
・第10回運営委員会08年2月24日
■ コーディネーター会議:運営委員会のない隔月に開催
・07年11月10日 ・08年2月2日 ・08年3月22日
最後に、この電子会議室を盛り上げていただいた運営委員会の皆様や、広報活動にご協力いただいた企業、団体、個人の方々に心から感謝申し上げます。